2008年7月28日月曜日

7月25日 キベラツアー Vol.3

 さて、キベラツアー最終章。午後からマゴソスクールの先生たちとのディスカッションをした。大きく分けて3つのことに関して話をした。まずこの学校にはいろいろな子が来ている。200人以上いて200通りの生き方がある。その中で今問題なのは、体罰の問題であるということだった。ある先生は体罰をすることで親が不平をいうことが問題であるということだった。そうすることで教師への敬意がなくなり、教員はやる気をなくすということを言っていた。

 次に他の先生が、政府がもっと国の教育に協力してほしいということだった。この国では教員の立場は低い。手当もほとんどなく、学校には就職できないボランティアティーチャーがたくさんいるということであった。現在大学の教育学部で教職コースは人気がなく、政府に問題があるということであった。

 その給料の安さのため、先生は公立学校の教員としてだけではなく、副業もしているということである。そのため教えることのエネルギーがなくなり、生徒にも影響を与えているという。そしてそんな教師の姿を見る子どもたちは教師になりたいという気持ちを減らしていく。悪循環である。

 ケニアでは現在、中学生たち(とくに男子)のおかしな行動が目立っている。自分たちの学校、寮に火をつける生徒がいる。ストライキを起こす者もいる。家庭が問題かもしれないが、それでもこの国の教育体制を立て直さすことが大事であるなあと思う。


 次に話したのはジェンダー格差のことである。昔は女性に対してケニアは規制が多かった。また女性の居場所は台所というように、ごはんをはじめ家事を全部して男は休んでいるというのが当たり前だった。しかし現在それを解消しようとする活動が多くなってきた。都市をはじめ、少しずつ平等の権利になりつつある。

 ところが部族にもよるが、生まれてくる子は男子のほうが重宝される。女の子はお嫁に行き、部族やコミュニティ(住む場所)が変わる。男の子はずっと同じ部族・コミュニティで生きていく。つまり家族を守ることができる存在なのだ。というわけでやはりまだ男の子のほうに価値があるという現実もある。これもジェンダー格差であろう。

 女性校長先生であるリリアンもそれに関して意見を述べた。まだまだジェンダー格差はあるという。仕事・売春・暴力、犠牲になるのはいつも女性であるということ。またエイズの犠牲も女の子が多いということをリリアンは力強い口調で教えてくれた。


 最後に話したのはエイズ問題である。ここキベラ地区ではAIDSは目の前にある。たくさんの人がエイズで亡くなる。一説ではキベラ地区では約20%以上の人がAIDSであるといわれている。といってもエイズの知識がないわけではない。おそらく日本人より知っているだろう。しかし意識が低く、その予防実践をしていないのが現状である。ここキベラ地区には十分なお金、十分な食料、そして十分な医療はなく、何もできない。エイズ感染者に薬を無料で与えるNGOもあるが、薬を飲まない人もいたり、食事がとれず薬だけで悪影響の人もいる。そんな現状なのである。

 女性は生きていくためには男性のもとへと行く。たとえその男性がAIDS感染者だとわかっていても、自分の生活のため性交渉をもつ。男性にしろ、女性にしろAIDSに感染していても関係を持つのである。その結果、エイズ感染が増える。そして大人が死んで孤児が増える。まさに悪循環なのである。
 ここキベラ地区はケニアの本質や問題をまっすぐに表している場所である。アフリカ最大のスラムであり、現在100万人以上が住んでいるといわれている。多くの現実を知り、このケニアの負の部分が詰まっている場所なんだなあという感想を持った。


 しかしその一方でマゴススクールの子どもたちのように、これからの未来を担っていく子どもたちの輝いている姿も見ることができた。そんな素晴らしい部分もたくさん見えた。あの子たちの笑顔を絶やさないために。これからの大人たちの努力が必要である。

 私も微力ではあるが、そんなケニアの子どもたちのために精いっぱいのことをしていきたい。このキベラツアーは、そんなケニアの姿を知ると同時に、自分の活動の想いを再認識できる活動でもあった。これからの20ヶ月間しっかりがんばっていきたい。

 さてもう少し続きがあるので、それはこの日曜日に書くことにしよう。

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