子どもたちはこの日を楽しみにしており、やっと次の更生院でスポーツや勉強が本格的にできるということを楽しみにしているのである。そのウキウキ感はこちらまで伝わってくる。子どもたちがうれしそうに俺の胸に飛び込んでくる。
“ Ken, ninaenda! Tutaonana!” 「ケン、じゃあ行くよ。またね。」
“ Sawa. Nenda salama na afia nzuri.”
「了解、気をつけていくんだよ。それから健康に気をつけてな。」
まだまだ小さい子は抱きしめられることがうれしいのか、みんな抱きしめてもらうために走り込んでくる。その姿がなんともかわいい。そして出発直前、こんな会話を交わした。
“ Usinisahau!” 「俺のこと、忘れるなよ。」
“ Sitakusahau mpaka nitakufa.” 「ぼくが死ぬまで、ケンのこと忘れないよ。」
その言葉が温かった。子どもたちに接してきてよかったと思えた瞬間だった。そして子どもたちはこのゲタスル更生院をあとにした。
長くて3ヵ月しかいない、このゲタスル更生院。もっと長く子どもたちと一緒にいたいが、それができない。出会いと別れが常にやってくるこの職場。それがけっこうつらい。そんなことを思う瞬間、一通のメールがやってきた。
「生徒が少なくなって寂しいね。でもあなたが一番ケニアの子どもたちと出会えるね。」
その言葉がまた温かった。その言葉に元気をもらった。また明日からがんばろうと思えた。今日は温かい言葉が多い一日で、幸せな一日だった。トランスファーはまだまだ続く。最後まで笑顔で子どもたちを送り出そう。