2009年6月6日土曜日

6月5日 子どもの涙で気づいたこと

 10歳ぐらいの小さな男の子がやってきた。無愛想な子で、あいさつしてもツンとしてる。この子は時間をかけて仲良くしていかなきゃと思いながら、笑顔で話しかける。すると怒ってた顔が一変、泣き始めた。心にあったものが爆発したのかのように大粒の涙が流れていた。

 “Hakuna wasiwasi. Usiniogope.” 「心配ねえで。怖がるなって。」
 “・・・(泣)”
 “Unawamiss wazazi wako?” 「両親が恋しいんか?」
 “・・・(うなずく)

 そのときに気づいた。と同時に今まで約1年間活動してきたが、なんでこんなことに気付かなかったのだろうと自分が情けなくも思えた。

 このゲタスル更生院には、10歳から18歳の子が在籍する。小学校4年生ぐらいから高校3年生ぐらいまでだ。そんな年頃の子が親と離れて暮らして、またこれから3年間一緒に暮らせないとわかってるとどうなんだろう・・・。そんな彼らの気持ちを初めてこの日、自分に置き換えることができた。

 俺は高校卒業後、1年間浪人した。19歳まで両親と妹、近くに住む祖父や祖母がいてくれた。大学に入っても初めは家族のいないことがすごく寂しく感じた。そんな自分がもし10歳で家族と離ればなれで暮らしたら・・・3年間一緒に住めないとわかったら・・・。

 泣きじゃくるその男の子の目線に合わせ、

 “ Ona, Yule ni mama yako. Mimi ni brother yako. Sisi tuko family kuanzia leo.”
「見てみ、あっちにいる人はお前のお母さんで、俺はお前の兄貴。

  今日から俺らは家族じゃから。」

 と言った。いつもうちの先生たちが言っている言葉だ。俺もまねして言った。その気持ちを、正直忘れていた。自分が家族の一員であることを。この子が気付かせてくれた、大事なことを。先生であると同時に兄貴でいること、家族としての温かさを彼らに与えること、初心に戻って明日から活動しよう。

2 件のコメント:

トモ さんのコメント...

いろんなバックグラウンドを持つ子どもたち。くろちゃんのたっぷりの愛情をたくさん注いであげてね。
そして、そんな素敵なことばを、同僚の先生たちが言っているの、すてきだね。

ケニャイチロー さんのコメント...

トモちゃん
 ヤンチャな弟ばかりですが、かわいいと思えるようになってきた。家族の大切さや温かさって、ここにいる子どもにはほんまに必要なことなんだって最近よく思うんだ。