2008年12月7日日曜日

12月5日 "Kanyonga!"(パン)

 夕方、毎日の日課である子どもたちとサッカー。ちょっと疲れて横で休んでいたら、何人かの子どもたちが寄ってきた。そして、夕ごはん前でおなかがすいたなあと言いあった。
そのときある生徒が言った。

 “ Chakula cha Getathuru ni tamu, lakini kadogo.”
 「ゲタスルのごはんはおいしいけど、量が少ないよ。」

 確かに10歳から18歳までの男の子である。食べざかりの彼らに十分な量のごはんが与えられてるかというとそうでもない。120センチほどの体の小さい子も、180センチを超える体の大きい子も、同じお皿に同じ量だけ盛り付けてある。そりゃ、不満も出てくる。

 また、うちの更生院では2日に一回がギゼリ(昼、夜)、そしてもう一日がウガリとマハラグエ(豆)と玉ねぎ(昼、夜)である。一日の摂取食品目はだいたい4~5品目だろう。栄養バランスだって、考えてない。食べることって、人間の楽しみだもんね。

 にんじんだって、じゃがいもだって、この更生院では出ない。予算の関係上しょうがないことなのだが・・・。

 その後、ある質問を子どもたちにしてみた。

 “ Unataka kula chakula gani?” 「どんな食べ物が食べたい?」

 するとほとんどの子どもが同じ答えを言った。

 “ Kanyonga!!” 「パン!」

 子どもたちが食べたい物、あこがれている食べ物、それはパン。けど、なんでパンが食べたいって思うんだろう・・・。そんなに高価なものでもないのに・・・。

 って考えると、あることに気がついた。この更生院では、たまに家族が子どもたちに面会に来る。そしてその子どもに、すべての親がパンを渡す。子どもに何か食べさせてやりたい、けど高価なのは買えない、その親の気持ちが一つのパンになって表れる。パンといっても、ここでパンといったら食パンのこと。そしてその子どもは、他の生徒が食べることのできないパンを食べるのだ。

 きっとパンって、ただ食べたいだけでなく、家族の愛がそこにあるからなんじゃないかな。そんな子どもたちの家族への想いを感じ取れた出来事だった。

12月4日 かくれんぼ

 “ちゃんと洗いなさい!”
 “ほら、洗濯ばさみ!”


 は、はい。この日の午前中洗濯をしていたら、すっかり私になついた隣人のエリザベスとジェニファーがやってきた。私の家のドアがあいていたりすると、すぐにやってくる。そしていつの間にか「かくれんぼ」が始まっている。あの、おれ洗濯してるんですが・・・。

 そしてそのかくれんぼもいつも二人が隠れる場所は同じ。台所のドアの後ろ・・・。そして見つかると、大喜び。まあ3,4歳ぐらいの子どもだからね。

 何回かかくれんぼした後で、洗濯の仕事に戻る。そうすると二人のお母さんが一言。

 “ Eliza, Jenifar, msaidie Ken!” 「エリーザ、ジェニファー、ケンを手伝ってあげなさい。」

 とありがたいお言葉。なんだが、この二人がけっこううるさい。手伝いというか、必死に洗濯物の仕方を教えてくれる。そして洗濯ものを干しているときも、横から口出しだけ。なんかおばちゃんみたい。まあ二人とも立派な大きいおなかをしているが。そしてまたかくれんぼが始まる。元気なこの女の子たちにいつも遊ばれています。

12月1日 何気ない話で盛り上がる

何気ない話に盛り上がるのも、楽しい。年頃の子供だからいろいろなことに多感だ。私がしている腕時計が気になって、値段やどこで買ったのか何人もの子どもに聞かれる。私が使っている日本の携帯電話が気になって、カメラがついているのかケニアでも使えるのかなど何人もの子どもに聞かれる。私がリュックサックにつけている日本の生徒からもらった人形を興味深そうに見て、人形の名前やどこで手に入れたかなど何人もの生徒に聞かれる。

 こうやって何気ない話をするのもまたいい。そして何より盛り上がる話題は、万国共通女の子の話題である。最近よく子どもたちに聞く質問がある。それはこの二つ。

 “ Unapenda wasichana?” 「女の子好きかい?」
 “ Unapenda wasichana gani?” 「どんな女の子が好き?」


 はじめの質問には、みんな笑顔で “Eh-!”「うん!」と答える。そして次の質問の答えがおもしろかった。

 “ Napenda mnono na mrembo.” 「太めで美人!」
 “ Wajapani halafu mnono!” 「日本人で太めの子!」


 ていうように、太めの子がこちらケニアでは人気である。ほとんどの子が太めの女の子が好きと答えた。ケニアだけでなくアフリカの男はけっこう太めの女性が好きのようだ。日本はダイエットブームなのに。まあ俺も昔から太めの女性が好きだから、ケニア人とも女性の好みは合う。というぐあいに、最近女の子の話題で子どもと盛り上がる28歳です。

2008年12月2日火曜日

11月30日 親父

 突然、子どもたちのドミトリーから泣き声が聞こえてきた。そこには一人の生徒が泣いていた。その子は病気で土日とドミトリーでずっと休んでいた。そんな彼が突然泣き出したのだ。突然のことだったので、急いでドミトリーに向かった。他の先生はあんまり気にしていない様子だったが。
 
 “ Inauma・・・” 「痛いよ・・・」

 そう言って、腕を抑えていた。そこにはたくさんの湿疹(しっしん)があり、体中湿疹があった。その痛みから泣いていたのだ。話を聞いてる最中、ようやく他の先生が登場。「薬は飲ませてあるし、あとは寝るだけ」と言って、子どもを説得していた。確かにそうなのだが・・・。ある先生が更生院専門医に電話したが、その専門医も日曜日で来ないとのこと。まいったなあ。

 病気の時って心細いよなあ。広いドミトリーで一人っきりで寝てなきゃダメだし。そんな彼の泣いたことは、単なる痛みだけでなくそこに誰かがいてほしいってことだったんじゃないかな。

 そこで俺は家から、オレンジを切って袋に入れて持ってきた。普段はこんなことしない。俺自身、誰かにお金を渡したり、物をあげたりすることが嫌いである。絶対にそんなことしない。しかし、毎日の食事がそんなに栄養があるかというと、そうではない。もちろん病人食なんてないし、果物だってない。飲みものだって、水道の茶色の水だ。そんなこと考えてるうちに、無意識にオレンジを切って、その子のもとに持ってきていた。

 “Ukule, harafu upate Bitamin C.” 「食べて、ビタミンCをとりな」

 そういって、彼にオレンジを差し出した。彼は何も言わず無表情でそのオレンジをとった。そしてオレンジを食べ始めた。もったいない食べ方をする彼だが、オレンジの種を平気で廊下に捨てる彼だが、うれしそうな顔を何一つしない彼だが、最後にただ一言

 “Asante.” 「ありがとう」

 って言った。これでよかったのかなあと思ったが、これでいいんだと自分で納得した。他の先生も、自分の昼食のチャパティをちぎって渡したり、自分のパイナップルを渡したりしていた。ケニアの先生も彼のことを気にしてるんだと思ったとき、なんだか嬉しかった。

 目の前で困っている人がいたから、自然とその行動に出た。今回はオレンジをあげるという行動に。そしてそばにいるという行動に。わざわざ何かするのに、考え込むことはしなかった。自分がそうしたいからそうした・・・。それでいいんじゃないかな。

 おれは更生院の先生だが、更生院には親のいない子もたくさんいる。そんな子たちにとって単なる先生でなく、厳しい親父であり、ときどき優しく接してやれる親父でいようと思う。叱るときは叱る、心細いときには一緒にいる、いいことしたときには思い切り褒める、一緒にサッカーしたりして遊ぶ、そんな親父になろう。子どもたちを自分の子どもだと思って接しよう。何か大きいことをするのではなく、小さいことでもいいから、子どもたちにしていこう。子どもたちの中に、ほんの小さなことが少しでも残せるのなら。

11月28日 奇跡の夕ごはん☆

 今日の夕ごはんは最高だった。なんと肉とパイナップルが同時に出たのだ。子どもは食べる前から興奮しっぱなしで、ダイニングの前に並ぶときもソワソワしていた。

 普段はそんなごちそうが出ることはない。肉は週1回出るだけだし、果物なんて2,3週間に1回だけだし。メインとデザートがどちらもある日なんて奇跡に近い。そんな最高の夕ごはんだった。

 そんな彼らが、いつも以上にkaribu発言連発。大事な肉やパイナップルをうれしそうに俺に差し出してくる。もちろんそんな大事な彼らのメインとデザートを取るわけにはいかない。

 “Asante, nitakura baadae.” 「ありがとう、俺も後で食べるから。」

 そう言って笑顔で応える。本当にごはんを食べてる時の子どもたちはかわいい。だが、パイナップルのカスをダイニングにポイ捨てしてたので、叱ったが・・・。けど、この更生院の中の楽しみの一つが、このごはんの時間。また何か楽しみの時間を作ってやりたいなあ・・・。

11月27日 健康診断

 この日は定期的に行かないといけない、JICA指定の健康診断の日。前日の夜10時から何も食べず、もちろん朝食もとらず、水だけ。そして検便をとって、いざケニア最大のナイロビ病院へ。

 まずJICA専門医のDr.Saio(イタリア人?)のところへと行く。ここはナイロビ病院とはちがい、その近くのDoctors Plazaという場所にある。簡単にいったら、いろいろなお医者さんのいる複合病院のようなものだ。その建物の中に多くの個人病院がある。そこで患者は、自分のかかる科とお医者さんを自分で決めて、そこに行けるのだ。

 さて、そのおしゃれな病院へと行き、まず検尿。そして血液検査。大嫌いな注射1本目は採血だった。そして次は診察。Dr.Saioの聞きやすい英語はありがたかった。Dr. Ajayの聞きづらい英語とはまったくちがう!

 そして予防接種の時間。A型肝炎、そしてB型肝炎両方の注射を打って、この日だけで計3本の注射を打つ。はあ、痛かった。そしてナイロビ病院へと行きレントゲン写真をとって終了。疲れた。しかしすごくきれいな病院だった。日本とほぼ変わらない設備だし、万が一病気になっても大丈夫だな・・・。

 帰りはたくさんの買い物をして帰りました。大好きな食パンとカップケーキも買えたし。そんなこんなで、仕事を離れて、こういう日もいいなあと感じた一日だった。

11月26日 今日も一緒に朝ごはん

“Mwalimu, karibu!!” 「先生、どうぞ」

 子どもたちはいつも朝ごはんのujiを飲んでいるとき声をかけてくれる。毎朝のごはんはコップいっぱいに入った、uji。これはトウモロコシの粉をお湯で溶かしたもので、ちょっとしたオカユのようなものだ。子どもたちはこれが大好きである。

 しかし、これだけではさすがにおなかいっぱいにならない。私でもおなかいっぱいにならないのに、ましてや食べざかりの10歳から18歳の男の子はなおさらである。少しでも多く入ってるコップをとろうと目を光らせている。

 “Nani anataka uji?” 「だれかujiがほしい人?」

 なんて私が聞くと、一気に10人ぐらいがやってきてコップを差し出す。それだけコップ一杯では足りないのだ。けど毎日同じ朝ごはんでも、子どもたちは嬉しそうに飲む。笑顔でいつも、

 “Tamu sana!” 「とってもおいしいよ」

 と言ってくれる。普段、嫌いになりそうになるぐらいズル賢い子どもたちも、このときの笑顔を見ると、なんとも言えない。そんな彼らと今日もおいしくujiを飲む。